写真史

写真技術は1830年代末に同時多発的に発生した。

4 BC
古代ギリシア アリストテレス(物理学の祖)
鏡の反射、気象、色彩等の現象の観察から光についての考察がされた。
※日食時の木漏れ日が丸くなることの記述→のちのピンホールカメラの原理につながる。
AC 11
『光学の書』アラビアの学者 イブン・アル=ハイサム 
レンズの観測(焦点、像の拡大、像の倒立、屈折率など)
AC 13
フランチェスコ会士 ロジャー・ベーコン
鏡やレンズを使った装置による光の観察・報告
小穴投影現象を活用した日食観測装置の考案
イタリアルネサンス絵画
ドゥツチオ、ジォットら 遠近法初期

AC15–16の間に「カメラ・オブスクラ」の発生・使用がある。
AC 15:ブルネレスキ、アルベルティ
AC 16:ダ・ヴィンチ
AC 16
1558年『自然魔術』ナポリの学者 ジョバンニ・バティスタ・デッラ・ポルタ
※カメラオブスクラの紹介記述からカメラ・オブスクラが広く流布し改良がなされる。装置の穴の部分にレンズを取り付け像を鮮明なものへ。
AC 17
1646年『光と影の大いなる術』イエズス会士 アタナシウス・キルヒャー
カメラ・オブスクラの図解(移動式タイプ)

Athanasius Kircher, Public domain, via Wikimedia Commons

レフレックス型 カメラ・オブスクラ
より小型でレンズからの光を鏡に反射させスクリーンに映し出す仕組み
視覚に関するテクノロジーの発達から、カメラ・オブスクラが科学や芸術で活用される。
ロバート・ボイル:「元素」概念の確立と発展
1725年 ヨハン・ハインリッヒ・シェルツェ
塩化銀が光の作用で黒変することを発見

ハロゲン化銀の観光性の研究
光による物質への作用の定着、保持の研究
ブルジョワ社会
肖像画の世俗化と拡大(自分や家族の肖像を持つ習慣が19Cまでに浸透する)
シルエットやミニアチュールという肖像画の新形態
タゲレオタイプ:1839年フランスのタゲールが考案。肖像写真に用いられた
AC 19
1826年 ニエプス『ル・グラの窓からの眺め』
カメラ・オブスクラを使用した最古の現存する写真

Nicéphore Niépce, Public domain, via Wikimedia Commons

1840年代初頭
パリ、ロンドン、NY、ベルリン、ハンブルクに最初の肖像写真スタジオが開設され、のちに地方都市へも波及する。
長時間露光のため数秒から数十秒の間被写体の人物は動けない→堅く儀式的な写真
1850年代中ごろ
タゲレオタイプ:カロタイプの発展系。ガラス湿板の技術
1851年 「ミッション・エリオグラフィック」フランスのによる記録事業
ブランカール=エヴラールが設立。写真と出版の結びつきによる新たな産業(以前は版画と印刷)。
1850〜80年年代
「アンブロタイプ」「ティンタイプ」複製できないが簡便かつ安価
「コロジオン」(湿板法)「アルビュメン法」(卵白を使用)複製可能かつ紙焼き
ナダール、カルジャ(カリカチュア画家から写真家へ転向)自然でデッサンのような肖像写真
1854年
特許「カルト・ド・ヴィジット」(名刺判写真)
8~12カットの連続写真
1860年代をピークに流行(安価)→広い層に普及
1856年〜
ルイス・キャロル(少女写真)

Lewis Carroll, Public domain, via Wikimedia Commons

ジュリア・マーガレット・キャメロン(近親者のポートレート)
1857年 『人生の二つの道』レイランダー 合成写真、ルネサンス絵画的、寓意的、演出的

Oscar Gustave Rejlander, British, born Sweden, 1813–1875, Public domain, via Wikimedia Commons

参考: Revised Edition “オスカー・ギュスタヴ・レイランダーの挑発” by 甲斐義明 | documents | photographers’ gallery
1869年『写真における絵画的効果』ヘンリー・ピーチ・ロビンソン
人工的な合成を勧める。絵的に美しいものを目指した写真
1855年頃 ピクトリアリズム
1889年『自然主義写真術』ピータ・ヘンリー・エマーソン
寓意的合成、宗教や神話性を否定し、自然から受ける視覚的印象をより率直に写真にする
↓大きな影響
1892年 リンクト・リング・ブラザーフッドのメンバー(イギリス)
1910年頃 アルフレド・スティーグリッツ 1 (アメリカ)ストーレトフォトグラフィ 2

あとはほとんど美術の歴史と同じです。

以下は写真に関連する個人的に気になっているアーティスト、作品


参考資料
『世界写真史』飯沢耕太郎,美術出版社
主な技法解説 』東京都写真美術館
Wikipedia

  1. 近代写真の父。アメリカ近代画家ジョージア・オキーフの夫。 ↩︎

  2. 人間が見たようなあるがままの写真。写真だけに可能な新しい表現の模索。後のダダ(フォトモンタージュ)、シュルレアリスム(マンレイ)、バウハウス(モホリ=ナジ)につながる。 ↩︎