TREES
リンゴ
主なる神はその人に命じて言われた、「あなたは園のどの木からでも心のままに取って食べてよろしい。
しかし善悪を知る木からは取って食べてはならない。それを取って食べると、きっと死ぬであろう」。
〈口語旧約聖書 2:16–2:17〉
- 豊饒・欲望・悪・不和・支配
- 黄金のりんご/知恵の木/生命の木
ギリシャ神話では黄金(不和)のリンゴをめぐって美しさを競うエリスとアテナの物語がある。
イチジク
夏の午前よ、いちじくの葉よ、
葉は、乾いてゐる、ねむげな色をして
風が吹くと揺れてゐる、
よわい枝をもつてゐる……
〈いちじくの葉 中原中也〉
- 喜び・罪・堕落・豊穣
- ディオニュソス(バッカス)
オリーブやブドウと並び豊かな実りの象徴。
果実とされているものは花であり、偽果の一種である。蓮の花と同じように女性の陰部の象徴とされる。
マルコによる福音書に空腹を覚えたイエスがイチジクを見つけたが実がなっていなかったため、今後実がならないよう呪った逸話がある。
オリーブ
- 平和・魂の救済
オリーブの枝
洪水
聖ブルーノ
ナツメヤシ
My hair is Nu; my face is Ra; my eyes are Hathor; my ears are Wepwawet; my nose is She who presides over her lotus leaf; my lips are Anubis…
〈死者の書 Spell:42〉
- 勝利・上昇・永遠・不死
- フェニックス/アポロ/生命の木/殉教のナツメヤシ
オリエントに起源を発し、古代より栽培される。古代オリエントや中東ではヤシは生命の木、その根元に湧く水は生命の泉とされ楽園と関連している。不死や再生の意味を持つフェニックス 1 とも関連している。エジプト神話では原初の水の神や永遠の神がヤシの枝を持って描かれる。キリスト教ではナツメヤシは受難と死からの復活を表し生命の樹や泉としての役割も受け継ぐ。またマリアの死にまつわる伝説 2 にも登場する。
果実はデーツと呼ばれていて スーパーなどで比較的安易に手に取ることができる。味は黒糖のような甘味が強いが香りに少しクセがある。
マツ
- 豊穣・復活・不死・力・生命の実
- 阿古耶姫(あこやひめ)
まつかさ、松ぼっくりは生命の木の実とされる。
日本の和歌ではマツの異名が多くの詠まれている。
ヤナギ
それからというもの姉は、毎日、川の辺にきてはたたずんで、じっと水の面に映うつる自分の姿を見てはものを思い、(中略)ある日のこと、姉は日が暮れても帰らずに一ところに立ちつくしていますと、一夜の中に姉の姿は消えて、そこに一本の柳となっていたのであります。
〈木と鳥になった姉妹 小川未明〉
- 死・冥府・貞潔
- 月・水
- ヘカテー(アスピリン)/オルフェウス/柳女/三十三間堂の棟木/アルテミス
1700年の終わりから1800年の初めにかけて、ピューリタンの墓石には壺またはランプとヤナギが彫刻された。
ハープ(ハイランドハープを含む)はしばしば柳から彫られた。
日本の民話に柳の精や妖怪があり、変身談として語られる。
ナギの杖は冥界では身体加護の役目を果たし、オルフェウスも1本携え冥界下りの際に道案内の役を果たした。
wicca (「魔術」)という言葉はwicker (「ヤナギの小枝細工」)と同一語源の、ヤナギを意味する言葉に由来すると主張するものもいた。魔力を持つネコは、ネコヤナギ、またはヤナギの尾状花序catkinから生まれ、魔女の使い魔であるネコrnalkinとなると考えられた。このことから「ネコはすべて最初は灰色」という諺が生まれた。
Willow(ヤナギ) - ギリシア神話・伝説ノート
アイデアスケッチ
- Title
- TREES
- Year
- 2025
- Software
- Photoshop
- Reference
- 西洋シンボル辞典,G.ハインツ=モーア,八坂書房,1994
- ギリシア神話・伝説ノート Barbaroi!